病院と医療を取り巻く問題

病院や医療は，人の命に関係することを扱うだけに，問題が起きれば社会にとって大きな損失となります。しかし，事実はさまざまな問題が起きていて，解決が難しいものも少なくありません。では，病院と医療を取り巻くどのような問題があるでしょうか？

病院になくてはならない存在であるのが医師ですが，近年この医師の不足がよく取り上げられています。背景には複雑なことが絡んでいるようですが，医師の絶対数は増えていながら不足が叫ばれています。基本的に，待遇が良く勤務環境も整っている病院に多くの医師が集中していることが問題とされています。ですから，病院の規模，診療科，地方に限らず医師が平均的にいる，という理想的な状態からかけ離れてきているようです。

さらには，医療において欠かせない薬にも問題が起きています。一般的な病気への治療法は確立されて，一通りの薬は出来上がったとされています。しかし，数千人に一人とか数万人に一人しか患者がいない稀少疾病については，まだまだ研究が必要です。にも係わらず，主要な薬の多くの特許期限が切れ始めるため，製薬会社の収入が減り，新しい薬の開発が行なえなくなることが懸念されています。

知らず知らずのうちに医療制度が変わり，それまでと同じような治療を受けられなくなったり，同じ診療を受けたのに医療費の負担額が増えたりしていることは，多くの人が実感している問題です。病気の治療法を受けるより予防に努めることが，個人個人に課された責任といえるでしょう。